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2023年02月10日
金属プレス技術は日本が誇る重要な基幹産業! (NC社長・内原康雄, 製造業)
僕が8歳頃まで住んでいた実家は、プレス工場だった。
(株)内原製作所は、昭和20年浅草にて創業、昭和42年葛飾区に移動、昭和51年埼玉県に工場を構えた。
僕は、毎日、小学校から工場の中の一室に帰っていった。工場の中は、秘密基地のように様々な道具やプレス機が並び、子供だった僕にとっては、宝物庫のようであった。下町には、そんな町工場がたくさんあった。
時代とともに、下町の多くのプレス屋は、地方へと移動していった。その後、平成を迎え、日本での金属プレス産業は、衰退の一途を辿る。中国、東南アジアへの生産移管だ。
地元葛飾区を見ると、この流れは、当初、おもちゃ業界(塗装に多くの人手がいるため)から始まり、その後、家電、電子部品とあらゆる業界に広まっていく。日本での生産を止め、中国、東南アジアを中心とした製造移管の時代となった。
金属プレスに必要な金型製造技術も、平成の時代に大きな工法変換点を迎える。コンピューターによる設計である。金型製造において、CAD/CAMツールの登場は、画期的に生産性を向上させた。
従来、金型設計・製造は、職人技術の粋であった。手書き図面の時代は、1000万円クラスの金型で、設計時間は、有に3ヵ月を要した。製作は1年がかりである。今は、設計3日、製作1ヵ月だ。価格は、 200~300万。
CAD/CAMを利用することで、職人技術が、数値化され、データベースを利用して、誰もが簡単に真似できるシステムが構築されたことにより、金型製作技術自体が、高度な設計技術ではなくなったと言える。
文系の僕が、難しい金型製作に携われたのは、CAD/CAMとミスミのガイドブックのおかげである。
そして、一般的な金型製造技術に関しては、台湾、韓国、中国のプレス金型技術が、20年ほどで日本に追いつくことが出来るようになったのである。
しかしながら、金属プレス技術は、日本が誇る重要な基幹産業である。
携帯電話、パソコン、ゲーム機器などのようなハイテク機器や、自動車、暖冷房設備、冷蔵庫、TV、 医療機器、農業機器、電子部品など、ありとあらゆる分野の製品の中身には、金属プレス部品が使われている。
次回、「エミダスマガジン」は、金属プレス産業に切り込んでいく。
そして、加工分類、生産設備分類項目の整理整頓を行う予定だ。
金属プレス産業の実態をぜひ、知って頂ければ幸いである。
2023年02月10日 14:30
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