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2011年05月24日

ものづくりで重要なのは基礎である

鉄道模型メーカー関水金属にお伺いし、加藤会長、工場長のお話を聞いた。
鉄道マニア(僕の場合は乗りテツ=鉄道に乗るのが好きな鉄道マニア)
の僕には、たまらん工場見学会だった。

●<関水金属 加藤会長のお話>

本所吾妻橋で生まれ育った。子供のころ、東武鉄道の操車場に行くのが好きだった。
東京駅の下にあった交通博物館、万世橋の鉄道博物館にもしょっちゅう行っていた。
就職したのが三菱電機。そこで、機械加工を覚えた。
現在の会社の基礎を学ばせていただいた。

昭和32年創業、文京区関口水道町でできたので関水金属、
台風で被害にあったので西落合に移る。
夜間無人運転でやるので、若葉の工業団地に移った。
鉄道模型をいかにして普及するかに専念してきた。
免振構造の工場をつくった。鹿島建設。
ゴムの基礎の上に工場がのっかている。
放電加工機は昭和36年に入れている。
一貫生産をしている鉄道模型メーカーは、世界で一社だけである。


見よ!この精緻な世界観
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●<工場長のお話>
ものづくりで重要なのは基礎である。
最近のマシニングセンターはボタンがあれば、ものが出来てしまう。
しかし、判断基準がない。
工具の摩耗だが、たとえば工具が2/100減った時、
どう対応できるのか、答えられるのが本当の技術者である。
材質、刃物の切れる原理、機械の剛性などを考えて、
どう対処できるかが、ものづくりの基本である。

それが出来なければ、最適な製品はできない。
そういったものづくり技術の基礎を若い人に伝えたい。

先日、茨城大学に行った時、学生に質問した。
なんで大学に来ているのか?
「時間潰しに来ている」
「親が行けというから来ている」
という意見が多かった。

ベトナム人留学生が一番興味を持って、話を聞いてくれた。
この状況では日本は本当にダメになってしまうという危機感がある。

CAD、プレス、成形、塗装、車輪は真鍮を機械加工、印刷、
組み立ての一貫生産で鉄道模型をつくっている。
これだけ技術をたくさん学べたので、本当にありがたかった。

塗装工程の効率をあげるための製品形状はどうあるべきか?
各工程の基礎をそれぞれ学ぶことが出来た。
塗装工程と成形工程、いろいろな工程はすべて繋がっている。
ASSYをやることは重要である。

また、人に基礎を教えるのは難しい。
ただ、やりなさい、と教えるのはダメ。
何か事件が起きた時に、本人に考えさせることが重要である。
たとえば、成形部門でWeldが発生したら、すぐに見に行って確認する。
そういった現場が近くにあることは大変ありがたいことである。
そうやって、やりがいのある職場をつくる。

関水金属では、購入した機械はそのまま使わない。
その機械の基礎を分析し、当社に一番合う機械に作り替える。
ものづくりの伝承とは、そういった工程の中で生まれていく。

どこもやっていないことをいかにやって行くかが重要である。

彫刻の仕事からスタートしているので20年前から、
10万回転のスピードでやっている。
牧野フライス精機で特別に関水金属製の機械をつくっていただいた。

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ものづくりのこだわりが関水金属の品質だ。

●<まとめ>
技術志向の工場長の熱い話だった。
僕も中学校時代、少し鉄道模型をやっていた経験があるが、
当時から「関水金属」製の鉄道模型は他社製と比べ、ディテールが精緻であった。

今日の見学と会長、工場長のお話を聞いて、その理由がわかった。
ものづくりに熱いメーカーなのだ。
おもちゃメーカー大手のトミーがTOMIXブランドで、「関水金属」の
ライバルメーカーであるが、中国生産をしていた。
が、結局、品質の問題で撤退して、
日本に再度、金型工場を作ったそうである。

ものづくりの本質は場所ではなく、
どの場所でも最高の品質をつくることだ!
ということを改めて考えさせられた。
どうもありがとうございました。

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模型を見てはしゃぐ、「ペッカー精工」小泉社長

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