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2023年07月27日

株式会社XEN GROUP様 工場見学会

株式会社XEN GROUP様は、香川県高松市に本社工場を構える板金屋&装置メーカーである。
社員数190名。売上27億円。
2011年、3代目高畑社長就任時には、3億の売上であったが、現在は、9倍の27億円の企業となった。
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▲アイスクリームも食べられる綺麗な食堂

成長の要因は、高畑社長が学生時代にサッカーで培った「諦めない粘り強さ」である。

高畑社長は、大学卒業後、ヤマザキマザックを経て、実家の高畑電機に戻る。
配電盤や部品などの板金を手掛けていたが、動く機械装置までを作りたいと考え始めた。
客先に交渉して、組み立てまで、もっと別の機種も、と徐々に製作範囲を広げていき、事業を進めながら、技術者を育てていった。
景気の変動を受けにくい業種の機械だと思っていたが、リーマンショックで売り上げが下がったことを機にもっと人の生活に欠かせない「食品」に関わる製品づくりをしていこうを考えた。

人からの紹介で、食品機械の“コンベア”を作ってほしいという依頼が舞い込んできたが、実際の装置を見ると全長25メートルの巨大な装置であった。
正直、本当に作れるかどうか、自信はなかったが「作れます!」と返答した。
高畑社長は、これを作れるようになることで、機械設計、電気配線、ソフト制御が学べる、と確信を持ち、前進する為に「食品事業部」を立ち上げた。

そんな時にある豆腐屋さんから、豆腐の自動製造装置のオーバーホールの依頼が舞い込む。
これは、チャンスだと考えた高畑社長は、1年掛けて、豆腐の自動製造装置を完成させた。

しかし、ここでまた苦難が待ち受けていた。
発注元の豆腐メーカーが、販売不振で、納品できない、という事態が起きたのである。

3000万円も掛けた機械である。
買ってもらえないとわかった高畑社長が取った次の手段は、自らが豆腐屋になる、という決断であった。
ここでも「持ち前の諦めない粘り強さ」を発揮し、豆腐の販売を成功させていく。
全自動の装置のため、人の手による雑菌がない豆腐が出来上がった結果、日持ちがするようになったこともあり、拡販が続き、1日10万丁を販売するようになったのだ。

そして、豆腐屋を始めてわかったことは、10万丁もの豆腐を毎日、生産するとそこから出るオカラが、
産業廃棄物となることであった。それも、毎月、廃棄するのに300万円もの出費が掛かるのだ。

高畑社長がここで着目したのは、オカラを乾燥させる技術だ。
その技術を持った会社が大阪にあった。高畑社長は、この会社をM&Aして、オカラ乾燥機を自ら作り上げ、乾燥機のメーカーになると同時に、オカラをオカラパウダーにアップサイクルして販売することに成功した。
ここも粘り強い、交渉と信念を以ってあたることで、毎月300万円の費用を、売上に変えることに成功したのである。

この問題の解決途上でわかったことが、世の中には“もったいない”フードロスがたくさんあるということ。

高畑社長は、この問題を解決するために、動き始めた。
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▲将来のビジョンマップ。農業も、すでに開始しています。

フードロスの削減の為にアップサイクルするだけでなく、未然にフードロスを防ぐことが出来たら・・・。
そんな時、新たなご縁で鮮度保持の研究を長年されている方との出会いがあり、自分たちが長年培ってきたものづくり技術を活かして3年間試作を重ねたのがフードロスを完全解決する可能性を秘めたクロスチャージユニットである。
この機械は、冷蔵庫でも冷凍庫でもない、食品のコンディショニングを整える装置。
熱交換技術によって庫内の温度を“-0.1℃~-1℃”に保つ画期的な装置で、その温度帯は食品に多く含まれる水の動きを束縛する。
水の動きを束縛することで品質を長期的に保たれるのだ。

高畑社長は、この技術に着目し、製品化を図った。
2021年、装置はいよいよ完成した。
高畑社長にとって、いよいよ世界に打って出る商品が開発されたわけだ。
それに伴い、会社名をXEN GROUPに改名。
「モノづくりは世界を豊かにする」をスローガンに、SDGsのファーストアクションとしてフードロスゼロを目指している。

日本には、約5千店舗のコンビニがある。
ここから排出される食品廃棄物は、年間24万トン(とネットに書いている)
XEN GROUPは、世界の”MOTTAINAI”をなくす、循環型社会の構築に挑戦している。

出来ないことを、出来るに変える。
常に前向きで、決して諦めない粘り強さ。
この精神で世界を変える製品を作った高畑社長。
今後のXEN GROUPの躍進に期待したい。

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