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2011年07月12日

アジア進出の果てに・・・ NC社長・内原康雄

 
● アジア進出の意義とは?

6月29日(火)に「アジア進出セミナー」を開催した。
タイ、フィリピンに工場を持つキャステム(広島県)
中国、タイに工場を持つオーティス(岡山県)
カンボジアに進出を果たした光和インターナショナル(東京都)
以上、3社にパネラーとして出ていただいた。

カンボジアに出たばかりの光和インターナショナルは、これから楽しみな企業だが、
オーティス、キャステムにおいては、進出して10年以上の歳月が立っている。
いずれの企業も進出時の企業規模が年商10億、雇用数100人で海外進出を果たした。
その後、オーティスは年商90億、雇用280人(国内)400人(国外)となった。
キャステムは、年商40億、雇用200人(国内)、700人(国外)となった。
この数値を見ていただくとわかるとおり、海外進出は空洞化を促進するものではない。
むしろ雇用を増加させ、日本国内の企業力を高めるものであることがわかる。
利益のみを追求する企業体ではこういった発展は難しい。

日本でのものづくり、海外でのものづくり、そこにどういった意味があるか?

経営者が日本発のものづくりに意義を感じて、日本国内でのものづくり、アジアでのものづくりに意味を持つことが必要なのだ。

 
 
● 製造業の発展とは?

製造業を発展させるには二つの方法がある。
数量の拡大か、付加価値の増加だ。

数量の拡大は、今後、東南アジアで必要とされているものづくりであり、
付加価値の増加は、日欧米で必要とされるものづくりといえよう。
日本のものづくりは、かつて、安かろう、悪かろうの評判の中で、世界に進出した。
先人たちの努力により、品質がよく、安い製品に成り上がり、
さらには Made in JAPAN = 高品質 というブランドにまで昇華した
日本が製造業の国として、今後も発展していくには、ブランドを継続していくためにアジアでの発展が必要だ。

  「日本の企業は安心して注文できる」
  「日本の企業は必ず納期を守る」
  「日本の企業は不良を出さない」

多くの日本企業神話がアジアでも出来つつある。
アジアでは、中華系(シンガポール系)、中国系、台湾系、韓国系、そして、日系の企業が凌ぎを削っている。
日本企業に頼むと上記のような品質が必ず守られる。
これを継続していくことが、最終的には日本製造業の発展に繋がる。

 

● 世界に誇る日本の素形材産業

素形材産業は、日本が誇るべき中小製造業群が世界に技術を誇る産業である。
屋号で称すると次のような名前が列挙される。

 機械加工屋(削り屋、旋盤屋)、鍛造屋、鋳造屋、硝子屋、磨屋(磨き屋)、
 プレス屋、成形屋、金型屋(型屋)、板金屋、熱処理屋、鍍金屋、etc

こういった業種こそが日本が誇るべき中小製造業の代表格である。
これらの業種では、世界に一社しか出来ないような特殊技術を持つ企業が少なくない。

 日進工具(小径エンドミル)、エーワン精密(コレットチャック)
 ハードロック工業(緩まないナット)、樹研工業(1/100万mmのギア製造)
 岡本硝子(歯科用反射硝子)、ナカシマプロペラ(造船用スクリュー)
 橋本精密工業(携帯電話用ブラシ)、八海クリエイツ(携帯電話用ヒンジ)

多くの中小製造業が特殊な技術で世界シェアを持っている。

これらの企業の特色をひとつあげるとすれば、社員の団結力が優れていることであろう。
特化した技術力は、一握りの天才がつくるものではなく、社員全員一致の団結力があって生まれるものである。
屋号を持った企業の特徴は、社長(オヤジ)のもと強い団結力がある。
社長(オヤジ)は絶対神であり、社長(オヤジ)の言うことに社員が全員一致で仕事を推進する。
そんな企業群だからこそ、リーマンにおいても首切りがほとんど行われず、存続をしたのである。
そういった企業だからこそ、世界に誇れる技術を有したのである。
技術は遺すものではなく、今後、どうしていくかだ。
そういった観点で再度、日本の技術を見直す必要がある時期に来たのではないかと思う。

 

● 世界に誇る日本の技術

本田宗一郎、井深大、松下幸之助の例を出すまでもなく、戦後の日本経済は、優れた日本の技術力を持った企業人にリードされ、世界第2位のGDP国家となった。
日本製造業の技術力は創業経営者の意思があって、世界に羽ばたいた。

今の日本に、意思がある経営者がどれほどいるだろうか?

自社の製品に自信を持ち、自社の製品を常に改善し、最高の品質のものづくりを提供しようという意思がある会社のみが発展をつづけることになる。
経営者の意思こそが、日本の技術を高めることにほかならない。
経営者が短期的な利益を追求したり、加工業以外の事業に本腰をいれたら、その企業はもう終わるだろう。
日本の技術力を再度、見つめなおし、 なぜ、世界の人たちに利用いただけるのか?
そんな考え方を持つ企業が、今後、アジア、そして世界に進出して、通用する企業になる。
日本の技術を継いで、さらなる地盤を創り上げるのが我々の使命である。

  


<アジア進出の本当の意味は、世界にMade in JAPAN製品を供給することにある>


  

2011年07月12日 15:43

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